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身を守るための契約書

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身を守るための契約書

身を守るための契約書

2024/09/08

私たちは、社会生活を行う限り、毎日のように「契約」を締結しています。「契約を締結している意識はない」と感じられる方もいるかもしれませんが、例えばコンビニエンスストアやスーパーマーケットで何らかの商品を購入することも、立派な売買契約です。

 

このような日常的な契約については、通常、口頭でやりとりをするだけで、契約書を作成する必要がありません。しかし、企業間取引の場合や、個人であっても例えば不動産の購入する場合、当事者間で契約書が作成されることになります。

 

では、なぜこのような場合に契約書が作成されるのでしょうか。

 

第1の理由は、冒頭のコンビニエンスストアでの売買とは異なり、契約書が作成される事案は、合意をした時点と権利を行使する時点が異なるためです。例えば、企業間取引の場合、代金の支払が合意をした日から1か月経過した時点になるときなどがありますが、この1か月後に合意どおりに代金の支払いを受けられることを明らかにするために、契約書を作成されます。

 

第2の理由は、契約に基づく当事者間の関係について、法律の規定とは異なる規定を設けるためです。

 

売買や賃貸借、請負など典型的な契約については、民法と呼ばれる法律に一定のルールが定められています。契約当事者が特段の合意をしない場合には、この民法が定めるルールに則って法律関係が処理されます。

 

しかし、基本的に当事者が合意すれば民法のルールと異なるルールを契約内容とすることができます。その場合、そのような特別なルールを契約書に記載することで、特別なルールについて合意がなされたことの証拠を残すことができます。

 

第3の目的は、契約違反の事実が生じた場合に対応するために契約書が定められます。多くの取引は特段の問題がなく契約上の債務が履行されて契約関係が終了します。しかし、場合によっては相手方が契約に違反する行為をした場合、これに対する責任追及をする必要があります。その際、合意時に契約書を作成しておくことが、責任追及に当たって証拠を残すことになります。

 

以上のように、契約書を作成する目的は様々ありますが、契約書を作成する場合は、合意した内容をすべて記載することが大切です。口頭で特約について合意したとしても、契約書に記載されていなければ、訴訟を提起した場合に裁判所がその特約を認めてくれないリスクが生じます。

 

特に「合意した内容は契約書に網羅的に記載する」ことが通常である分野については、裁判所は特別な理由がない限り、契約書に記載されていない内容を認定してくれません。

 

また、裁判所は、企業は日常的に契約書などの書面を作成しているという認識を持っているため、契約当事者が企業の場合には、契約書を作成しなかったり、これを作成しても必要な条項を記載しなかった場合、それを落ち度として、当事者である企業に不利な判断をする傾向にあります。

 

したがって、何かしらの合意をする場合には、契約書を作成し、その契約書に合意した内容をすべて記載することが大切です。「当然の常識」だとして、契約書に記載しない場合、裁判所の目からみれば「当然の常識」ではないこともありますので、そのような常識的な部分についても、契約書に記載することが大切です。

 

そして、契約書の作成には法律の規定との関係を考えたり、内容の明確性に注意を払う必要があります。このような作業には専門的な知識が不可欠です。

 

したがって、日常的に契約書を作成する業務に携わっている方は、専門家である弁護士にこれを相談できる体制を構築しておくことが大切です。

 

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