飯田橋総合法律事務所

成年後見

年を重ねるにつれて判断能力が衰えてしまい、財産の管理が心配……

人生100年時代と言われ、ご長寿の方が増えることは喜ばしいことですが、その一方で、このような不安を抱くケースは多くなっています。

このような不安を法律的に解決する手段としては、大きく分けて後見制度の利用と民事信託の利用という2つの方法があります。


後見制度には、法定後見と任意後見の2つの制度があります。


1 法定後見
(1) 制度の概要
法定後見制度とは、判断能力が十分でない人」を保護するためのもので、「この制度を利用する時点で既に判断能力が衰えてしまっている場合」にその利用を検討する制度です。

家庭裁判所が、本人や家族などからの申立てを受けて、その人に適した支援者を選び、本人の財産管理とそれに関連する事柄についてサポートを行います。

具体的には、成年後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて、3つの類型に分かれており、本人の支援者として判断能力の衰えの程度が重い順序で、成年後見人、保佐人、補助人と呼ばれる支援者が選ばれることになります。

判断能力を常に欠いているような場合には成年後見人を、判断能力を著しく欠いている場合には保佐人を、判断能力が不十分な場合には補助人を選任します。

支援者の職務や権限の内容は、この3類型で異なり、成年後見人は財産管理全般について権限がある一方、保佐人や補助人は一部の財産管理に関する事柄についての代理権などがあるにとどまります。

(2)法定後見を利用する場合の手続
法定後見における成年後見人などは、家庭裁判所が行います。

 

法定後見制度を利用する場合には、家庭裁判所にその開始を求める申立てをする必要があります。

申立て後、申立てを認めるかどうか、どの類型の制度を用いるかを判断ために、裁判官や家庭裁判所調査官が調査を行います。

また、必要に応じて、本人の判断能力について医師による鑑定が行われる場合があります。


具体的に誰を成年後見人などに選任するかは、裁判所が決定します。本人のためにご家族が後見などの開始を申し立て、そのご家族が成年後見人などに就任することを希望している場合には、そのご家族が成年後見人などに選ばれることもありますが、ご家族が成年後見人などに就任することを希望しない場合や、その希望がある場合であっても本人をめぐる事情によっては、ご家族の希望とは異なり、弁護士などの専門家が選任されることになります。

(3)後見制度開始後の役割
後見制度が開始されると、成年後見人などが本人のために、その職務の権限の範囲内で本人の財産管理を行います。例えば、成年後見人のサポートを受けている本人が介護施設に入所する場合、その介護施設を選んだり、施設入所の手続や日々の利用料の支払の管理などを行います。

 

2 任意後見
(1)制度の概要
任意後見制度は、本人自身が任意後見人として財産を管理してもらいたい人を選び、その人との間で「任意後見契約」という契約を締結します。このように本人が任意後見人を選んで契約することが必要なので、この制度は、法定後見とは異なり、基本的に「十分な判断能力がある時点で」将来判断能力が衰えたときの備えとして利用することが想定されている制度です。

(2)任意後見を利用する場合の手続
任意後見制度は、将来任意後見人として財産を管理してもらいた人との間で任意後見契約という契約を締結します。この契約は公証役場で公正証書を作成する方法で締結します。

そして、任意後見契約締結後、本人の判断能力の衰えなど、任意後見契約で定めた任意後見を開始する条件が発生した場合に、本人や任意後見の受任者が家庭裁判所に対して任意後見の開始の申立てを行います。家庭裁判所は、任意後見契約に定めた開始の条件を満たしているかなどを審査した上で、任意後見開始の決定をすると、本人が選んだ方が任意後見人として選任され、その方が裁判所が選任する任意後見監督人の監督の下、本人との契約で定められた権限に基づき、本人のための財産管理をします。


3 法定後見と任意後見の違い

以上のように、法定後見はその利用開始を検討した時点で既に判断能力が衰えてしまっている場合にこれを利用するかどうかを検討するのに対し、任意後見は基本的に判断能力が十分にある時点で予め将来判断能力が衰えた場合に備えてこれを利用するかどうかを検討する点で異なります。

そして、利用開始の時点で本人の判断能力が十分あるかどうかに違うことから、後者の任意後見の場合には、法定後見と比較して、柔軟に本人の考え方を任意後見契約に反映させることが可能となります。

なお、任意後見が利用可能なほど判断能力がある状態には、将来への備えとして、任意後見ではなく民事信託を利用することも考えられます。

4 民事信託
 後見制度と同様の制度として、民事信託制度があります。民事信託は、本人が信頼できる方を「受託者」として、自らの財産をその方に信託譲渡して受託者に管理してもらうことを内容とする契約です。民事信託は、本人の判断能力がある時に受託者との間で締結する必要がありますが、財産の管理方法について、任意後見制度以上に柔軟に定めることができますし、財産の管理に加え、遺言のようにその承継方法を定めることもできます。

5 以上のように、判断能力が衰えた場合に備えとして用いることができる制度はいろいろなものがあります。どれを選択するかは、その時の状況やご希望によります。そのため、どの制度を利用するかは、専門家に相談されることが大切です。

飯田橋総合法律事務所では、成年後見・民事信託に関するご相談を承っております。

お困りの方は一度ご相談ください。

相続

私たちは、人生で一度は必ず、相続という形で自らの財産を引き継がせる問題や、逆に親などから財産を引き継ぐ問題に遭遇します。そして、相続は、どのような立場でこの問題に取り組むかによって対応は異なってきます。

1 財産を遺す方にとっての相続問題
まず、自らの財産を遺すという形で相続に取り組む場合には、①誰に、②どのような財産を承継させるか、そして、③どのような法律上の制度を利用するのか、④円滑な相続の実現のために誰を頼りにするのかが問題になります。

誰にどのような財産を承継させるかを検討するにあたっては、その財産を引き継がせる必要性と共に、財産を引き継ぐ被相続人の法律上の相続分や最低限の取得分である遺留分に配慮しながらこれを決める必要があります。

これらを決める方法は、遺言をすることが一般的ですが、遺言書にもいくつかの種類があります。遺言の場合、遺言において遺言内容の実現の手続きをする者として遺言執行者を決めて、その者に手続を進めさせるか否かを考えます。また、遺言の代わりに信託契約を締結するという方法もあります。信託契約を用いる場合には、契約の相手方である受託者が、財産の承継の手続を進めることになります。


誰に、どのような財産を遺すのかは、自分で決めることもできますが、それを法律上有効に行うためには、弁護士などの助力が不可欠です。遺言にしろ信託契約にしろ、その作成に当たっては様々なルールがあり、そのルールを満たしていないと、例えば遺言が無効となってしまう場合もあります。

このようなことがないよう、財産の承継を検討し始めたら、弁護士などの専門家に相談することが必要です。


2 財産の承継を受ける方にとっての相続問題

相続によって財産の承継を受ける方にとっては、スムーズに相続財産の承継を受けること、適切妥当な相続財産の承継を受けることが問題となってきます。

財産を遺した被相続人が遺言を遺すなどして、具体的な承継方法が決まっている場合には、それに基づいて手続を進めていくことになりますが、遺言などがなされていない場合には、相続人全員が遺産分割協議をしてその内容を相続財産の分割方法を具体的に決めることが必要となります。

その際には、何が相続財産になるのか、それをどのように評価するのかが問題となり、これらの点について相続人間で意見の一致が得られない場合には、家庭裁判所において遺産分割調停を行い、それでもまとまらない場合には遺産分割審判の手続を行う必要があります。

一方、遺言などがなされている場合でも、特定の相続人にばかり相続財産の承継が偏っている場合には、その偏りを正すべく、遺留分を主張することも必要になってきます。

さらには、被相続人にめぼしい財産がなく、負債の方が多い場合には、マイナスの影響を受けないように相続放棄や限定承認といった制度を利用することも検討する必要があります。

いずれの場合も、細かい計算などが必要であったり、それを主張できる期間の制限もあったりするため、1人で問題を抱えずに弁護士などの法律家にこれを相談することが大切です。


相続問題でお困りの方は、飯田橋総合法律事務所にご相談ください。

倒産処理

法人は、時として負債が膨らみ、経済的に行き詰まってしまうことがあります。そのような場合には、負債を清算することで、経済的に再出発することが必要です。そのような法的手続が倒産手続です。

倒産手続には、大きく分けて裁判所が関与して進める手続きと、裁判所が関与せずに進める手続があります。

前者には、破産、民事再生などといった制度があり、置かれている状況によって使い分けます。後者は債務者が債権者と直接交渉する任意整理と呼ばれる方法があります。

1 裁判所が関与して進める手続①:破産
法人や個人事業主が破産する場合、申立てに先立って不動産や売掛金などの資産や権利義務の調査を行った上で裁判所に破産手続の開始を申し立て、裁判所が選任した破産管財人が裁判所の監督の下でその内容を調査し、財産をお金に換えて債権者に配当が可能かを検討します。そして、配当可能な場合には、配当を行い、配当ができない場合には、配当がない状態で破産手続は修了します。

2 裁判所が関与して進める手続②:民事再生
 現在の経済状態では破産しなければならないおそれがあるものの、債務額を圧縮して営業を継続する見込みがある場合、民事再生手続の申し立てることになります。この場合、基本的に裁判所が選任した監督委員の監督の下で、圧縮した債務額で弁済の計画を定めます。この計画が裁判所に認可されると、営業を継続してその計画に従って債務を支払っていくことになります。

3 裁判所が関与しないで進める手続:任意整理
一方、任意整理の場合には、個別に債権者と交渉し、分割弁済などを協議することになります。収入の状況を踏まえ、毎月の支払が負担にならないよう、すべての債権者との間で合意による解決を目指します。


いずれの方法を選択する場合でも、専門家に依頼し、対応することが必要です。


倒産処理などでお困りの方は、一度飯田橋総合法律事務所にご相談ください。

不動産トラブル

個人は家に居住して生活を営み、法人も事務所を構えて営業をするなど、誰もが不動産を利用して活動しないことはありません。そのため、不動産を巡るトラブルは、誰もが遭遇しうる問題です。

例えば、不動産売買において、売買契約前の買主の売主に対する説明は、宅地建物取引業法が定める重要事項はもちろんのこと、その取引に応じて特定の事項を説明しないことでトラブルになります。また、地中埋設物などのように売買締結後に買主が売主に対して契約不適合責任に基づく損害賠償請求(改正前の民法の言葉で言うと瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求)や、契約自体の解除という問題が生じます。

不動産の賃貸借においても、賃貸人は賃借人の家賃の不払が生じた場合や、退去時の原状回復の場面で問題が生じやすく、賃貸人と賃借人の間でのトラブルを解決する必要があります。

また、昨今社会的に問題となっている空き家問題は、その所有者はもちろんのこと、近隣にお住まいの方にも関わります。

このように、不動産には、様々なトラブルが起きやすいですが、いったん生じると、不動産トラブルは不動産が高額であるため、損害などが高額になりやすい傾向があります。そのため、法律家のアドバイスを受けて適切に不動産に関する法律を用いて損害を回避・軽減し、あるいは損害の回復を図ることが大切です。

 

飯田橋総合法律事務所では、不動産トラブルについての相談を幅広く承っております。

お気軽にご相談ください。

借金問題

借金の返済に困っており、債務整理手続を考えている方の中には、周囲に債務整理手続を利用する人がおらず不安になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

債務整理手続には、代表的な3つの種類があります。任意整理、個人再生、自己破産です。
1 任意整理
 任意整理は、裁判所の関与なしに債権者との間で弁済について協議をし、毎月の支払可能額の範囲で分割払をする合意をすることを目指します。すべてのクレジット業者・金融業者に当てはまるわけではありませんが、弁護士が介入して債務整理をすると、債務整理後の利息の支払はせずに分割払で借金を返済することができる場合もあります。

2 自己破産
 任意整理で分割払をすることが難しい場合には、自己破産が第1の選択肢となります。自己破産です。自己破産を裁判所に申し立て場合、裁判所が多くの場合、最終的に免責という決定を出し、この決定により、自己破産を申し立てた方は、以後、法律上定められている一部の種類の債務(養育費や税金など)を除き、それを支払う必要がなくなります。

もっとも、自己破産においては、高額な財産については、それを処分して債務者に配当することになります。そのため、例えば自宅が持ち家の場合には、その自宅が自己破産手続の中で処分されることになります。また、一定の職業の方は、自己破産が資格を失う理由になります。

3 民事再生
 自己破産の問題点である自宅の清算を回避する方法としては、民事再生手続があります。民事再生手続も裁判所に対して申立てをします。そして、民事再生の場合には、一定の条件を満たす必要がありますが、自宅を処分せずに、そのまま住宅ローンを支払いながら、自宅を所有し続けつつ、各債権者に対して分割弁済することができます。分割する弁済額も、保有する財産額によりますが、一部圧縮された金額になります。

 

他にも利用できる制度はありますが、いずれの制度を利用する場合であっても、法律家の助力を受けることが必要不可欠です。

債務整理手続きをお考えの方は、一度飯田橋総合法律事務所にご相談ください。

労働問題

多くの方が誰かに雇われ、あるいは誰かを雇いながら生計を立てています。円満な労働関係が構築されていれば良いですが、それが壊れてしまった場合には、労働者、使用者の間で大きな紛争が生じます。

このような紛争を防止するためには、まずもって使用者が労働基準法などに基づき、適切な労働環境を整備してそれに基づいて運用する必要があります。例えば固定残業代や解雇などは、それが適法になる場合を経営者の方が誤解していることが少なくありません。

いったん紛争が発生した場合には、労働者も使用者も証拠を集めながら、自らの権利主張をする準備をする必要があります。そして、裁判外での交渉だけでなく、裁判所を利用した解決も考える必要があります。特に労働問題については、労働審判制度という早期紛争解決を目指す手続があるため、それを視野に入れることも必要です。


このような観点から、労働問題を適切に解決するためには、紛争が生じる前後を問わず、問題となる法律の条文などを踏まえながら、証拠を集めて主張を組み立てる対応が必要となります。

労働問題は人間関係が問題となり、そのため、互いに相手の人格を攻撃するような主張をするケースにも遭遇しますが、そのような主張ではなく、法律を踏まえた証拠の収集とそれに基づく主張によって結果は決まります。

 

労働問題でお困りの方は、一度飯田橋総合法律事務所にご相談ください。

企業法務

事業を営む方は、個人・法人を問わずに、経営戦略を立てた上でそれを実行している方が多いと思います。
しかし、戦略的に対応する必要があるのは、事業それ自体だけではなく、それに伴う法律問題も含まれます。

戦略書の古典『兵法』を記した孫子は、「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む」と述べ、勝者は、先に戦いに勝てる状況を作ってから戦いを始め、敗者は先に戦ってから勝ち方を求めると指摘しています。法的紛争の解決の要点もこの孫子の考え方と全く同一です。事前の準備によって、法的紛争が生じた際にその紛争において自らを有利なポジションにおくことが可能になります。


例えば、契約書の起案も、1つの条文が紛争の雌雄を決することは少なくありません。そのような場合、事後になってはじめて対応するのでは手遅れの場合さえあります。

また、紛争が生じた後は、事前の準備の内容に従い、万が一それがない場合にはその時の状況でできることを最大限に利用して、紛争解決が必要です。例えば、事前に担保を取っていない取引先に対する債権の回収では、取引先の財産を仮に差し押さえるべき場合もあります。

事業を営むと、個人が生活する以上に法的紛争に遭遇します。それは事業の規模が大きくなるほど高まっていきます。そのため、事業活動を行う方は、将来、法的紛争に遭遇してしまう場合に備えて、日頃から法律家のアドバイスを受けることが、紛争による損失を最小化することに繋がります。

 

企業法務に関するご相談は、飯田橋総合法律事務所におまかせください。